年次有給休暇5日付与しなければ罰金30万円

(2021年5月6日更新)

年次有給休暇は労働者の当然の権利

年次有給休暇とは

年次有給休暇とは、労働者が6か月継続勤務すると当然の権利として有給で取得できる休暇で、休暇しても賃金が支払われます。
年次有給休暇が付与される要件は次の2つです。

(1)雇い入れの日から6か月経過していること

(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

この要件を満たした労働者は、フルタイムであれば10労働日の年次有給休暇が付与されます。
また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、(2)と同様要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。その後も同様に要件を満たすことにより、次の表のように日数が付与されます。
労働基準法第39条で、労働者に年次有給休暇を付与することを事業主の義務と定められています。
労働基準法の条文はこちら

勤続年数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

この表のように、勤続6年6か月以上になると、毎年20日の年次有給休暇を取得できることになります。
さらに年次有給休暇の時効は2年なので、仮に前年に年次有給休暇を全く取得しなかった場合は、最大で1年に40日の年次有給休暇を取得できる可能性があります。
もっとも2019年4月から、使用者は年次有給休暇を必ず年5日以上付与しなければならなくなったため、現在はそういう状況にはならないはずです。

年次有給休暇は労働者が請求する時季に付与

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準で定められています。
なお、単なる期間を指す「時期」ではなく、季節のニュアンスを含む「時季」という漢字を使います。

事業の正常な運営を妨げる場合は労働者の希望する時季を変更できる

ただし使用者は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与ることが事業の正常な運営を妨げる場合にのみ、他の時季に年次有給休暇を変えるよう労働者に求めることができますが、その時季での取得を拒んだまま年次有給休暇を付与しないとすることはできません。
では年次有給休暇を時季変更できる期間はいつまでか?というと、この場合基準日は関係ないので基準日を超えて変更を求めても問題ありません。
しかし、裁判例などからおおむね1週間~1か月以内には変更する必要があると考えられます。

5日の時季変更は基準日から1年内で

ところで年5日の年次有給休暇を取得させなければなりませんので、この5日分の時季変更権は当然、基準日から1年の内でしか行使することができません。
労働者が継続勤務して6か月経過し年次有給休暇が発生する日を基準日と言いますが、5日分を時季変更できるのは基準日から1年間の内、ということになります。
すなわち例えば1月1日入社の労働者の場合、7月1日から翌年6月30日までの中でしか変更できませんし、 その翌年もまた、その年の7月1日からその翌年6月30日までの間でしか変更できません。
また年次有給休暇の基準日を全員あるいは何通りかに分けて同じ日に定めている場合は、 その基準日からの1年間の内で変更できることとなります。

使用者による時季指定

法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者(管理監督者を含む)に対して、年5日までは、使用者が労働者の意見を聴取した上で、時季を指定して取得させる必要があります。
使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
労働者が自ら請求・取得した年次有給休暇の日数や、労使協定で計画的に取得日を定めて与えた年次有給休暇の日数(計画年休)については、その日数分を時季指定義務が課される年5日から控除する必要があります。


年次有給休暇は非正規労働者にもある

一昔前は「アルバイトに年休は無い」などと誤ったことを言い切ってしまう事業主や労働者もいましたが、現在ではそういう誤解をする人はかなり少なくなりました。
当然、アルバイトなど非正規労働者にも年次有給休暇を取得する権利はあります。
たとえ週1日しか働かない労働者でも、年次有給休暇は取得できるのです。


労働日数が少ない労働者には労働日数に応じて比例的付与

年次有給休暇は、パートやアルバイトなど労働日数が少ない労働者や非正規労働者にも当然の権利として付与されます。
ただし、所定労働日数が少ない労働者は、フルタイムと同様の日数の年次有給休暇がもらえるわけではありません。
その労働日数に比例した日数の年休が取得できるのです。
これを、年次有給休暇の比例的付与と言います。
年次有給休暇の比例的付与の日数は以下の表のようになります。

年次有給休暇比例的付与

 

年次有給休暇は管理監督者にもある

年次有給休暇は管理監督者にもあります。
時間外労働・休日労働に関しては管理監督者への割増賃金の支払いは必要ありませんが、年次有給休暇は管理監督者にも取得させなければなりません。


年次有給休暇を5日以上付与しなければ事業主が罰金30万円

年次有給休暇の確実な取得は働き方改革の重要な柱

日本は諸外国と比べて年次有給休暇の取得日数が少ないことが長らく問題となっていましたが、長年の年休取得推奨にもかかわらずあまり改善が見られなかったため、ついに2019年4月から、年次有給休暇の付与は事業主の義務とされました。
労働基準法が改正され、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させなければならなくなったのです。
これに違反すると事業主に、違反1件につき30万円以下の罰金が課せられます。(労働基準法第39条第7項)

使用者は「労働者自らの請求」、「計画年休」及び「使用者による時季指定」のいずれかの方法で年次有給休暇を取得させる必要があります。
使用者は労働者の意見を聴取した上で、時季を指定して年5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。
ただし労働者が自ら請求・取得した年次有給休暇の日数や、労使協定で計画的に取得日を定めて与えた年次有給休暇の日数(計画年休)については、その日数分を時季指定義務が課される年5日から控除する必要があります。
つまり、使用者が指定する5日よりも、労働者自らの請求した時季や計画年休のほうが優先されるということになります。


年次有給休暇管理簿

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
年次有給休暇管理簿には以下の数字を記録する必要があります。

 ・時季(年次有給休暇を取得した日付)
 ・日数(年次有給休暇を取得した日数)
 ・基準日(労働者に年次有給休暇を取得する権利が生じた日)

年次有給休暇管理簿はもちろん紙である必要はありません。
エクセルや勤怠管理ソフトなどで管理するのが便利でしょう。
労働基準監督署に提出を求められた際にはすぐに提出できるようにしておきましょう。


年次有給休暇管理簿

年次有給休暇管理簿
全国社会保険労務士会連合会作成の年次有給休暇管理簿をダウンロードする

 


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