固定残業代制は誤解だらけ

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固定残業代制とは

固定残業代制とは、実際の残業時間に関わらず、予め決めておいた時間残業したとみなし、毎月同じ額の残業代を支払う制度です。
しかし非常に多くの事業主が、この固定残業代制を誤解し、誤って運用しています。
そして多くの場合、労働基準法違反となっていて正しく残業代が支払われておらず、未払い残業代請求の裁判が起こされて事業主側が未払い残業代を支払うこととなる事件が多く発生しています。

 

固定残業代制は実際の残業時間以上の残業代を支払う制度

固定残業代制は、予め決められた時間ぶんの残業をしたとみなし、毎月決められた残業代を支払う制度ではありますが、予め決められた残業時間を超えて残業させた場合は、その超えた時間ぶんの残業代も支払わなければ労働基準法違反です。
そしてその残業時間が法定労働時間を超えていれば当然、時間外割増を加えて支払う必要がありますから、その超えた時間ぶんは通常の時間給の1.25倍の時間外割増額でなければなりません。
また、予め定めた残業時間よりも実際の残業時間が少なかった場合でも、決められた固定残業代を支払う義務があります。
つまり、固定残業代制は少なくとも実際の残業時間の額か、実際の労働時間ぶんよりも多い額の残業代を支払う制度なのです。

固定残業代を採用しているからどれだけ残業させても固定額以上の残業代を支払わなくてもよいと誤解している事業主も見かけますが、明らかな違法行為です。
そしてそういう事業主が労働者に訴えられて裁判で負け、未払い残業代を支払わされるというケースを多く見かけます。

 

固定残業代制でも残業時間を把握する義務はある

固定残業代制を採用しているから残業時間を把握しなくてもよいと誤解している事業主を見かけますが、これも労働基準法違反です。
労働基準法により事業主には労働者の労働時間を把握し管理する義務が課されており、固定残業代制であってもこれを免れることはありません。
固定残業代制を採用していても、結局は残業時間を把握し、その残業時間に対して残業代はいくらになるのかを把握しなければらないのです。
つまり実際の残業時間と残業代を計算した上で、もし固定残業時間よりも実際の残業時間のほうが少なくても予め定められた固定残業代を支払うことになるので、固定残しておく日宇町味より多くの労力を要しながらより多めに残業代を支払う制度であるとさえ言うことができます。

 

固定残業代はきちんと定義すべし

固定残業代制を実践している事業所の中には、固定残業代が何時間分の賃金なのかなどをきちんと定義をせずあいまいなまま運用しているところを見かけます。
結論から言いますと、固定残業代制をきちんと定義することなく、また就業規則にも規定しないまま運用することは非常に危険です。
残業代が未払いであるとして労働者や労働組合から請求の裁判を起こされる恐れがあります。
そして裁判になった場合には裁判官に残業代を正しく支払っていないと解釈される可能性が非常に高いです。
固定残業代は何時間分でいくらの設定なのかをきちんと計算し、就業規則に規定する必要があります。
10人未満で就業規則の届け出義務が無い事業所でも、就業規則に準ずる何等かの規程は作る必要があります。

 

固定残業代を基本給に含めるのはダメ

給与明細や賃金台帳を見ると、賃金の内訳がざっくり基本給のみとなっていて、この基本給の中に固定残業代も入っている、と言う事業所を見かけます。
これだと給与明細や賃金台帳などに基本給だけが支払われたという記録が残るわけですから、たとえ実際は基本給の中に固定残業代をきちんと含めて支払っているとしても、基本給だけを支払い残業代は支払っていないかのような証拠となってしまいます。
固定残業代は基本給や他の手当と区別して記録しなければなりません。

実際、慣習的に基本給の中に固定残業代を含めて支払っている、つまり賃金台帳や給与明細の項目に時間外賃金欄が無い会社が、残業代を支払っていないとして労働者から訴えられる裁判は多くあります。
そしてその場合、基本給に残業代が含まれているとは認められず、残業代を支払っていないとして、基本給という名称の部分全体を元に時間単価を計算し直して残業代を追加で支払うよう命ずる判決が出ることが非常に多いです。
あるいは固定残業代をどうしても基本給に含めたいのであれば、固定残業代が何時間ぶんで何円なのかきちんと規定して、かつ固定残業代を基本給の中に含むことを規定しておく必要があります。

 

固定残業代の内訳が定義されていないのもダメ

また、給与明細や賃金台帳に固定残業代を他の手当と分けて記録していても、その固定残業代が何時間の残業の額なのかを定義していないというケースも見受けられます。
固定残業代の中に深夜労働割増や休日労働分まで含めていると言う事業所もあります。
固定残業代の中に深夜労働割増や休日労働分まで含めるのであれば、当然その旨を就業規則等に記載しなければなりませんし、固定残業代の額が深夜労働割増や休日労働それぞれを計算した金額の合計に足りている必要があります。
実際の労働時間を計算して、果たして本当にその固定残業代の中に収まっているのか一度確認してみてください。
そしてもしも足りていなければ、正しい計算で固定残業代を急ぎ定義し直す必要があります。

固定残業代は何時間分で何円なのか具体的に定義しておかなければならない

 

欠勤した分の固定残業代を控除できるか?

実際の残業時間が少なくても固定残業代は減額できない

固定残業代制を導入している場合、実際の残業時間が設定した残業時間よりも少なかったとしても、固定残業代を減額することはできません。
また遅刻・早退があったとしても、固定残業代の部分を減らすことはできません。
もちろん遅刻や早退があった場合に固定残業代以外の手当から遅刻早退した時間分だけ賃金控除することは可能です。

 

欠勤した日の固定残業代を控除できるか?

では固定残業代制において、欠勤をした日があった場合に固定残業代を減額することはできるでしょうか?
結論から言うと、可能です。
固定残業代制は残業させた場合に残業時間が少なかったとしても決められた残業代を支払わなければならない制度ですが、まるまる働いていない日がある場合には、その欠勤日についてまで固定残業代を支払う必要はありません

ただし固定残業代制ゆえどのような場面でも固定残業代が全額支払われると解釈される恐れがあるので、まる1日労働しなかった日についてはその日については固定残業代を支払わないことをあらかじめ就業規則に規定しておくことをお勧めします。

 

フレックスタイム制+固定残業代制では欠勤した場合にも控除できない

ただし固定残業代制とともにフレックスタイム制を導入している場合には、「欠勤」した日があったとしても、固定残業代を減額することはできません。

まず、フレックスタイム制は清算期間を通じてあらかじめ決められた総労働時間を満たしていれば労働時間が少ない日があっても賃金控除できない制度なので、たとえ労働時間が0時間の日があったとしても、それでもって直ちに欠勤とすることはできません。
ただし清算期間を通して実労働時間が総労働時間を満たしていない場合には、その足りない時間分の賃金を控除することは可能です。

では、フレックスタイム制に加えて固定残業代制も導入している場合、固定残業代部分を「欠勤控除」はできるのでしょうか?
仮にフレックスタイム制の清算期間を通して実労働時間が総労働時間に日単位で満たない場合に満たない日数分の固定残業代を控除できるとすると、そのことが労働者に労働時間をゆだねることに一定の抑止力となってしまう恐れがあります。
すなわち、労働者が固定残業代を控除されることを避けるために労働時間を決めることに繋がり、労働時間を労働者に委ねるというフレックスタイム制の趣旨に反することになってしまうのです。

そういうわけで、フレックスタイム制と固定残業代制を併用している場合には、たとえまるまる1日労働しない日があったとしても、固定残業代を控除することはできないと考えられます。

 

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