2022(令和4)年10月からの最低賃金~過去最大上げ幅31円増!

(2023年2月16日更新)

今年2022(令和4)年度の最低賃金は2022年10月から過去最大の31円増額となりました。
これは急激に進む物価上昇などを反映したものです。


賃金は時給換算で最低賃金を超えなければならない

最低賃金法第3条、第4条で、時給換算した賃金が最低賃金額以上の額でなければならないと定められています。
最低賃金額は各都道府県ごとに決められます。

最低賃金法の条文はこちら

最低賃金には都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と、業種別に定められる「特定最低賃金額」があります。

 

地域別最低賃金の改定は毎年10月

地域別最低賃金は、毎年夏頃に中央最低賃金審議会(厚生労働大臣の諮問機関)が各地域の最低賃金額の目安を示し、各地方最低賃金審議会がそれを参考にして調査・審議し答申します。

答申されたこの改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月上旬までの間に順次発効されます。
 

2022(令和4)年10月~2023年10月の首都圏の地域別最低賃金

 東京都  1,072円
 神奈川県 1,071円
 埼玉県   987円
 千葉県   984円

2022(令和4)年10月~2023年10月の地域別最低賃金は31円増

2022年10月~2023年10月の地域別最低賃金は、2021年度よりおよそ31円増額で、下の表のようになりました。

  都道府県名最低賃金時間額【円】発効年月日
北海道920(889)令和4年10月2日
青 森853(822)令和4年10月5日
岩 手854(821)令和4年10月20日
宮 城883(853)令和4年10月1日
秋 田853(822)令和4年10月1日
山 形854(822)令和4年10月6日
福 島858(828)令和4年10月6日
茨 城911(879)令和4年10月1日
栃 木913(882)令和4年10月1日
群 馬895(865)令和4年10月8日
埼 玉987(956)令和4年10月1日
千 葉984(953)令和4年10月1日
東  京1072(1041)令和4年10月1日
神奈川1071(1040)令和4年10月1日
新 潟890(859)令和4年10月1日
富 山908(877)令和4年10月1日
石 川891(861)令和4年10月8日
福 井888(858)令和4年10月2日
山 梨898(866)令和4年10月20日
長  野908(877)令和4年10月1日
岐 阜910(880)令和4年10月1日
静 岡944(913)令和4年10月5日
愛 知986(955)令和4年10月1日
三 重933(902)令和4年10月1日
滋 賀927(896)令和4年10月6日
京 都968(937)令和4年10月9日
大 阪1023(992)令和4年10月1日
兵 庫960(928)令和4年10月1日
奈 良896(866)令和4年10月1日
和歌山889(859)令和4年10月1日
鳥 取854(821)令和4年10月6日
島 根857(824)令和4年10月5日
岡 山892(862)令和4年10月1日
広 島930(899)令和4年10月1日
山 口888(857)令和4年10月13日
徳 島855(824)令和4年10月6日
香 川878(848)令和4年10月1日
愛 媛853(821)令和4年10月5日
高 知853(820)令和4年10月9日
福 岡900(870)令和4年10月8日
佐 賀853(821)令和4年10月2日
長 崎853(821)令和4年10月8日
熊 本853(821)令和4年10月1日
大 分854(822)令和4年10月5日
宮 崎853(821)令和4年10月6日
鹿児島853(821)令和4年10月6日
沖 縄853(820)令和4年10月6日
全国加重平均額961(930)


()内は前年度(2021年度・令和3年度)の最低賃金

→ 地域別最低賃金の額 厚生労働省公式サイトはこちら ←

 

最低賃金「10月から」とはいつから?

最低賃金は毎年10月に改訂されますが、10月の具体的に何日からなのでしょうか?
10月1日からの場合もあれば、10月6日からなどの場合もあります。

「10月から新しい最低賃金」とは「10月に働いた分の賃金から」賃金から新しい最低賃金

「10月から新しい最低賃金」が適用される、とは、「10月に働いた賃金から新しい最低賃金」以上の額で支払うということです。
具体的に例を示すと、10月1日から最低賃金が改定となる場合、賃金の締め日と支払日によって、次のようになります。

<月末締めで翌月10日支払いの会社>
 10月以降の労働に対する賃金から新しい最低賃金、つまり11月10日支払いの賃金から新しい最低賃金


<20日締めで末日支払いの会社>
 9月21日~9月30日の労働分は古い最低賃金、10月1日~10月20日の労働に対する賃金から新しい最低賃金
 つまり10月10月31日支払いの賃金では10月1日を境に新旧の最低賃金を適用


最低賃金改定の境目を跨ぐ場合、時間外割増賃金に注意

上記の20日締めのように賃金清算期間が最低賃金改定の境目を跨ぐ場合は、時間外割増賃金の計算に注意が必要です。
9月30日までと10月1日以降とで分けて時間外割増賃金を計算する必要があります。
煩雑になるのを避けるため、少し早めですが9月21日の労働から新たな最低賃金を適用してしまうほうが分かりやすいかもしれません。


 

特定最低賃金~産業別の最低賃金

産業によっては特定最低賃金という産業別の最低賃金を定めている業種もあります。
特定最低賃金は必ず地域別最低賃金より高くなくてはなりません。
また、特定最低賃金が定められていない場合は、その地域の地域別最低賃金が適用されます。
特定最低賃金は12月に改訂されます。

特定最低賃金の額は厚生労働省公式サイトをご覧ください

 

今後の最低賃金の予想

コロナの影響がまだ大変厳しい2021年度の地域別最低賃金の改定はおよそ28円の大幅増額でした。
そんな時期になぜこのような大幅な最低賃金の引き上げを行ったのでしょうか?
それは、政府自民党が儲からない産業から儲かる産業への労働力移動を進めたいからです。
つまり政府は、賃金を払えない事業から賃金を沢山支払える事業へと労働者が転職することを望んでいるのです。
そして2022年はそれをさらに上回る31円と過去最大の上げ幅となりました。
これは急激な物価上昇に対応したものです。
最低賃金は今後も上昇を続けると見込まれています。

海外の最低賃金

ちなみに海外の先進国の最低賃金は日本よりずっと高く、2023年2月現在の1時間あたりの最低賃金は以下のとおりです。

  アメリカ ニューヨーク 15ドル ≒ 2,010円
  ドイツ        12ユーロ ≒ 1,720円
  イギリス     10.42ポンド ≒ 1,680円
  フランス     11.07ユーロ ≒ 1,590円

このように、海外と比べると日本の最低賃金は決して高いとは言えません。

 

最低賃金大幅引き上げに関連する助成金

コロナの影響で苦労している事業所が多い中で2021年に最低賃金が大幅に引き上げられることから、賃金増額に関連する助成金が創設されました。

業務改善助成金

売上等が30%以上減少し、かつ事業所内最低賃金を30円以上の賃金引上げを行う場合は、PC、スマホ、タブレットの新規購入、貨物自動車なども生産性向上の効果が認められる場合は対象になります。
PC、スマホ、タブレット、貨物自動車等は汎用性がある機材のため、通常ならば助成金の対象にはなりませんが、最低賃金を28円も引き上げることから、この業務改善助成金では売上が30%以上減っている事業者については対象とされます。

業務改善助成金について詳しくはこちら

社労士 連絡先

お気軽にご連絡ください。遠方の事業所様もどうぞ!

メール:info@masaki-sr.jp
電話:03-6382-4334
東京都中野区南台
正木社会保険労務士事務所

 

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