ボランティア活動中の労災

(2021年9月13日更新)

ボランティア活動中の労災認定は判断が難しい

従業員にボランティアなどの社会貢献活動への参加を促しているという事業所があります。
企業などが社会貢献活動を行うのは非常に素晴らしいことです。
従業員がそういった活動への参加をしやすくするために社内制度を整えるのも非常に先進的で理想的です。

ボランティア活動が業務であれば労災認定の可能性高いが

その際、ボランティア活動への参加とその際に災害に遭ってしまった場合の災害補償を会社としてどう扱うのかは非常に難しいところです。
ボランティア活動時の災害が労災認定されるかどうかは、まず、会社がボランティア活動への参加に対して どれだけ強く強制力を持つかによって大きく変わってきます。
以下の極端な2つの例の場合、ボランティア活動中及び往復の事故における労災認定は次のようになる可能性が高いと思われます。

(1)個人として自主的にボランティア活動に参加する → 業務ではない → 労災ではない

(2)会社として強制的に被災地などに派遣する → 業務である → 労災である


労災は個々の事故について認定するので何が認定されるかは前もっては分からない

ただし労働基準監督署による労災認定は、実際に生じた個々の事件によって具体的に審査されるものですので、 事前に何が認定され何が認定されないかを仮定で述べることはできません。
極端なこの2つのケースを挙げましたが、会社の強制力及び社員の自主性がこの2つの例の間くらいであればなおさら、 事前の労災認定可否の予想は難しくなります。
特にボランティア活動の場所や状況、作業内容は非常に多岐にわたるため、 個々の事故によって労災認定されたりされなかったりするものと思われます。

従って、(1)のように参加者の自主性に任せ報告義務だけを課せば、 会社としてはボランティア活動に関して労災という概念から解放される可能性が高いということにはなります。
また(2)の場合、そもそも通常の業務ではない作業を強制することができるのか?という問題もあります。
ちなみに仮にボランティア活動への参加を評価や査定などと関連付けるとするならば、 例え参加者の自主性に任せるとしても、黙示の強制性が認められる可能性が高いでしょう。

東京都中野区渋谷区の境目、山手通りから新宿を望む

とりあえず労災申請する

労災申請の際に事実をそのまま記述する限り、労災申請して結果として労災認定されなかった場合でも、会社がペナルティを受けることはありません。
ですので労災の可能性がある場合は労災として申請を出してみるのがよいと思います。
会社が強制性をもって従業員を社会活動に参加させる場合は労災認定されやすくなりますが、かと言って必ずしも全てが労働災害とは認定されない可能性はあります。
強制性や指揮命令の程度、活動内容、往復経路などによっては業務関連性が認められない可能性もあると思われます。
ことに会社が促すボランティア活動での災害という、まだ過去に事例の少ない新しい問題となりますので、なおさら今後どう判断されていくのか読めません。
これについては複数の労働基準監督署に確認してはみましたが、やはりまだ労働基準監督署にも方針がなく、実際に申請があってからその都度具体的に判断する以上のことは言えないとの話でした。

労災隠しは絶対にダメ

労働者が完全に自主的に参加するボランティアではなく、会社が労働者に命令して参加させるボランティア活動で事故が発生した場合、労災認定の可能性に関わらず、通常の業務上災害の場合と同様に 速やかに労働基準監督署に労災申請するべきだと思います。
労災隠しは事業所にとって最も大きなペナルティとなるので、ボランティア中の事故であっても少しでも会社からの強制力がある場合は、労働基準監督署に労災申請し報告するべきでしょう。

労災認定されなくても会社の民法上の責任はある

ところで会社が実質的に強制力をもって従業員に社会貢献活動に参加させて従業員が災害に遭った場合、労働基準監督署から労災認定が得られずに労災扱いされなかったとしても、民事上は会社が責任を問われる可能性もあることに注意が必要です。


労働者災害補償保険法の条文はこちら


(2021年9月13日更新)

今だけボランティア休暇制度導入の助成金があります!

今だけ、ボランティア休暇制度を導入し就業規則に規定することが助成金の対象となります。

2021年4月から始まった働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)で、有給のボランティア休暇制度を導入し就業規則に規定すると、その就業規則の作成や変更の費用の3/4が助成されるのです。
これを機に就業規則を整備することをお奨めいたします。
ただこの助成金は2021年11月末の締め切りを待たずに予算が尽きて早期終了してしまう可能性が高いので、お早めにご検討ください。
実際昨年も早々と終了してしまいました。

就業規則作成・整備への助成金活用について詳しくはこちら!



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メール:info@masaki-sr.jp
電話:03-6382-4334
東京都中野区南台
正木社会保険労務士事務所


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