労災 雇用 労働保険 健康保険 厚生年金(社会保険)

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雇用保険、労災保険、労働保険、健康保険、厚生年金保険(社会保険)は強制保険

雇用保険、労災保険、労働保険、健康保険、厚生年金保険(社会保険)は法律で定められた強制保険です。
ですから事業主や労働者の入りたい入りたくないに関わらず、要件に該当すれば強制的に入らなければならず、逆に要件を満たさなければ入ることはできません。
これらの保険は被保険者資格要件を満たせば正社員のみならずパート、アルバイトなどあらゆる労働者が対象となります。

雇用保険と労災保険をまとめて労働保険と言います。
また、健康保険と厚生年金保険を合わせて社会保険と呼ぶことが多いです。
業種と規模によっては例外的にごく一部、適用除外される事業所もありますが、原則全ての法人とほとんどの個人事業は強制加入と考えてください。

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労働保険

労災保険と雇用保険を合わせて労働保険と呼びます。

労働保険

労働保険年度更新

労災保険と雇用保険の保険料は労働保険として合わせて手続きし、納付します。
前年の4月からその年の3月までの1年分の保険料を、毎年7月10日を期限として申告し、納付します。
前年度の確定した分の確定保険料と、今年度の予想の保険料額である概算保険料を清算します。
これを年度更新と言います。
「労働保険概算・確定保険料/一般拠出金申告書」(労働保険年度更新の書類)が毎年初夏頃に、労働局から緑色のA4サイズの封筒で届きます。
この申告書を労働局に届け出て、労働保険料を金融機関経由で労働局に納付します。

厚生労働省の労働保険のページはこちら

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労災保険

労災保険とは大まかに言えば労働者の業務上災害と通勤災害を対象とする保険です。
正しくは労働者災害補償保険という名称です。
あらゆる個人事業と法人は、労働者を1人でも雇えば労災保険の適用事業所となります。
労働者とは、正社員のみならず、パートやアルバイトなど名称の如何を問わず、その事業所に試用される全ての人です。
ただし労災保険は役員や同居の親族には適用されません。
その名の通り、労働者のための保険だからです。
しかし、中小事業主は労災保険に特別加入することで労災保険の保護を受けることができるようになります。
ただ中小事業主の特別加入で保護されるのはあくまで労働者と同様の業務を行った際の事故だけで、事業主としての業務の最中の事故は保護の対象とはされません。

仮に労働保険の成立届の手続きをしなくても、労働者を雇ったことで労災保険が適用はされますが、保険関係成立届を届け出ないとペナルティとなります。

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雇用保険

雇用保険とは大まかに言えば雇用継続と失業に対する保険です。

所定労働時間が週20時間以上の全ての労働者が被保険者となります。
週20時間以上ならば当然パートやアルバイトも被保険者となります。
全ての法人と一部の例外を除くほとんどの個人事業が強制適用となります
労災保険と併せて労働保険として手続きします。
ごく稀に雇用保険料を節約したがる事業主や労働者をみかけますが、雇用保険料は労働者1人あたり月に数百円という少額ですので、法律違反を犯してまでケチるのは理解に苦しみます。

また雇用保険は雇用調整助成金など雇用関係の助成金の財源ともなっています。

雇用保険の適用事業所

原則労働者を使用する全ての事業所が雇用保険の適用事業所となります。
ただし個人事業の農林水産業で常時使用する労働者が5人未満の事業所だけは任意適用で、強制適用されません。
それ以外の事業所は全て強制適用です。

雇用保険の被保険者

雇用保険の適用事業所に雇用される次の労働条件のいずれにも該当する労働者は、原則として全て被保険者となります。
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあること
また、パートやアルバイトなど雇用形態や、事業主や労働者からの加入希望の有無にかかわらず、要件に該当すれば加入する必要があります。
(季節的に一定期間のみ雇用される方など、一部被保険者とならない場合があります)

2023年(令和5年)4月~の雇用保険料率

2023年(令和5年)4月から雇用保険料率が上がります。
一般の事業の労働者負担分が6/1,000、農業や建築の労働者負担分が7/1,000になります。
2023年4月から2024年3月の間に行った労働についての賃金について、この新しい雇用保険料率を適用します。
この「〇月分の賃金」とは、その事業所で慣例的に〇月分と定義している賃金のことです。
ですから例えば毎月20日〆の事業所は、3月21日~31日の賃金と4月1日~4月20日を分けて新旧の雇用保険料率で計算し分ける必要まではありません。
3月21日~4月20日の賃金を「4月分賃金」という名称で支払っているのであれば、それを今年の4月分として扱って問題ないとのことです。(埼玉労働局徴収課に確認済)
雇用保険料率が上がるのは、コロナ対策として多額の雇用調整助成金を支給したことが雇用保険の予算を圧迫したためです。

雇用保険料率R5年度2023年度

厚生労働省ホームページより引用
 

雇用保険マルチジョブホルダー制度

2022年1月1日から65歳以上の高年齢労働者を対象とした「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されました。
複数の事業所で勤務する65歳以上の高年齢労働者が2つの事業所での勤務を合計して一定の要件を満たす場合に、特例的に雇用保険被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができます。
マルチ高年齢被保険者として雇用保険の適用を希望する者が加入要件に該当する場合、事業主は必ずこれに対応しなければなりません。

この労働者手続きは労働者本人がハローワークに申出て自身で手続きを行います。

<適用要件>
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して
1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

厚生労働省のマルチジョブホルダー制度のページはこちら

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社会保険

健康保険厚生年金保険を合わせて社会保険と呼びます。
健康保険と厚生年金保険の手続きは通常まとめて行いますので、手続きについては社会保険(健康保険と厚生年金保険)の手続きの箇所で説明します。

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健康保険

健康保険私傷病に対するとは私傷病に対する保険です。
病院にかかった際に医療費の7割等を負担してくれたり、療養で労務不能のときは傷病手当金で生活費を補償してくれます。
労働者と事業主が同じ額を出し合って保険料を納付するので、労働者にとって非常にありがたい制度です。
保険料を負担に感じる事業主と労働者を見かけますが、保険料に応じて給付の額も増減しますので、一概に無駄な負担とは言えません。
厚生年金保険と併せて手続きを行い、厚生年金保険と合わせて徴収されます。

手続きについては社会保険(健康保険と厚生年金保険)の手続きの箇所で説明します。

健康保険の適用事業所

健康保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。
また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて健康保険の適用事業所となります。

つまり、健康保険が強制適用されないのは5人未満の個人事業のサービス・農林水産・法務・宗教のみです。

 

健康保険の被保険者

適用事業所に使用されている人は、国籍・性別・年齢・賃金の額などに関係なく、次の「適用除外」に該当する場合を除いて、全て健康保険の被保険者となります。

適用除外

・船員保険の被保険者
・所在地が一定しない事業所に使用される人
・国民健康保険組合の事業所に使用される人
・健康保険の保険者、共済組合の承認を受けて国民健康保険へ加入した人
・後期高齢者医療の被保険者等
・臨時に2か月以内の期間を定めて使用される人
・臨時に日々雇用される人で1か月を超えない人
・季節的業務に4か月を超えない期間使用される予定の人
・臨時的事業の事業所に6か月を超えない期間使用される予定の人

被扶養者

同居の場合の扶養

同居している場合に被扶養者となるのは年間収入130万円(60歳以上あるいは障害者は180万円)未満の場合です。
(税の被扶養者とは額が異なります。)
また、年間収入が生計を維持する被保険者の2分の1未満である必要もあります。

同居していない場合の扶養

同居していない場合に被扶養者となるのは年間収入130万円(60歳以上あるいは障害者は180万円)未満の場合です。
(税の被扶養者とは額が異なります。)
また、年間収入が生計を維持する被保険者からの援助額より少ない必要もあります。

ちなみに被保険者となることを避け被扶養者でいるために労働日数や労働時間を減らす方が多いですが、税制上の被扶養者からはずれても賃金額は増えるので、トータルの収入では必ずしも損をするわけではありません。

健康保険の保険料

健康保険の保険料は事業主と被保険者で折半して納めます。
健康保険と厚生年金保険は通常セットでまとめて手続きをします。
(ただし事業所が国保組合に入っている場合は厚生年金のみの被保険者となります。)
保険料は前月の末日に在籍していると発生します。

健康保険の保険料率

健康保険の保険料率は毎年4月納付分から新しい料率に変わります。
健康保険料は前月分を納付するので、4月納付分から新しい保険料率を適用するということは、3月に支払う賃金にかかる保険料から新しい料率を適用する必要があるということです。

健康保険の保険料率は都道府県によって異なります。
全国健康保険協会のホームページをご覧ください。

介護保険料

40歳から64歳までの被保険者は、介護保険第2号被保険者ともなり、介護保険料を健康保険料と併せて納付します。
介護保険料も事業主と被保険者で折半します。

健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料額は、届け出によって決まります。
被保険者資格取得届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払い届、そして被保険者資格喪失届がそれです。

被保険者資格取得時決定ー被保険者資格取得届

事業所に採用された時に事業主が届け出をします。

定時決定ー算定基礎届

保険料額は、4,5,6月に支払われた報酬の額て決まり、原則としてその年の9月から翌年8月までその保険料額が適用されます。
定時決定と呼びます。
また4,5,6月に支払われた報酬の額を毎年7月10日期限で日本年金機構に届け出る手続きを算定基礎届と言います。
具体的な手続きについて詳しくは社会保険(健康保険と厚生年金保険)の手続きの箇所で説明します。

随時改定ー月額変更届

ただし固定的賃金の変動があった場合は、その後3か月間の報酬額の平均額によっては、保険料額が変更となります。
これを随時決定と呼びます。
固定的賃金額に変動があった場合は、変動があった月から3か月間の賃金額を届け出ます。これを月額変更届と呼びます。

賞与支払届

また、賞与を支払った際には賞与支払届を届け出る必要があります。

傷病手当金

傷病手当金 病気療養傷病手当金は、私傷病の療養のため労務不能な期間に給付されます。
医師が労務不能と認める期間に限られます。

傷病手当金の待期

私傷病で労務不能な日が連続3日続いた場合、4日目から傷病手当金をもらうことができます。
労災の休業と混同しやすいのですが、労災と異なり3日間の待期は連続していなければ成立しません。
傷病手当金は医師が労務不能と認める期間受けられます。入院の期間に限りません。

傷病手当金を受けられる期間は1年6ヵ月

傷病手当金を受けられる期間は1年6ヵ月です。
2022年4月1日から、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月になりました。

退職後の傷病手当金の継続給付

退職日より前から傷病手当金を受給している場合は、退職後もそのまま傷病手当金を受け続けることができます。
そのためには、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があることが必要です。
そして、資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていることも必要です。
なお退職日に出勤すると、退職日の翌日以降は傷病手当金を受給できなくなってしまいますのでご注意ください。
事業主が記載する項目は必要なくなりますので、手続きは本人が行います。

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厚生年金保険

厚生年金保険とは、国民年金に加えて退職後に老齢厚生年金として給付される年金です。
当然国民年金だけの人より給付額が多くなります。
また障害や死亡についても年金や一事件が給付され、国民年金より手厚いです。
労働者と事業主が保険料を出し合って保険料を納めるので、労働者にとっては非常にありがたい制度です。
保険料を負担に感じ保険料を節約できないか画策する方も見受けられますが、保険料が多いほど後の年金給付額が多くなるわけですから、仮に保険料を節約できたとしても、それがお得なこととは思えません。
無駄なあがきはやめて法律通りに手続きするのが正解です。
被扶養者要件は健康保険と全く同じで、税制上の被扶養者の範囲内の労働日数等に抑えることが必ずしも得となるわけではありません。

手続きについては社会保険(健康保険と厚生年金保険)の手続きの箇所で説明します。

厚生年金保険の適用事業所

厚生年金保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。
また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて厚生年金保険の適用事業所となります。

厚生年金保険の被保険者

厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所に常時使用される70歳未満の人は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。
試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります。

厚生年金保険の保険料

厚生年金保険の保険料は事業主と被保険者で折半して納めます。
健康保険と厚生年金保険は通常セットでまとめて手続きをします。
(ただし事業所が国保組合に入っている場合は厚生年金のみの被保険者となります。)
保険料は前月の末日に在籍していると発生します。

被保険者資格取得時決定ー被保険者資格取得届

事業所に採用された時に事業主が届け出をします。

定時決定ー算定基礎届

保険料額は、4,5,6月に支払われた報酬の額を毎年7月10日期限で日本年金機構に届け出て決まり、原則としてその年の9月から翌年8月までその保険料額を納めます。
手続きについて詳しくは社会保険(健康保険と厚生年金保険)の手続きの箇所で説明します。

随時改定ー月額変更届

ただし固定的賃金の変動があった場合は、その後3カ月の報酬額の平均額によっては、月額変更届を届け出て保険料額が変更となります。

賞与支払届

また、賞与を支払った際には賞与支払届を届け出る必要があります。
賞与にかかる健康保険料と厚生年金保険料は、通常の賃金の保険料のように標準報酬月額に保険料率を乗じるのと異なり、賞与額そのもの(千円未満を切り捨て)にそれぞれの保険料率を直接乗じた額です。
ただし1回の賞与額が150万円を超える時は、150万円を上限とします。

 

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き

健康保険と厚生年金保険は原則としてまとめて手続きをします。
4,5,6月に支払われた報酬の額を日本年金機構に届け出て(算定基礎届)、その年の9月から翌年8月までの保険料額が決まります。
ただし固定的賃金の変動があった場合は、その後3カ月の報酬額の平均額によっては、月額変更届を届け出て保険料額が変更となります。
また、賞与を支払った際には賞与支払い届を届け出る必要があります。

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格

事業所に常時使用される人(事業主のみの場合を含む)は、国籍や性別、賃金の額等に関係なく、すべて被保険者となります。
(原則として、70歳以上の人は健康保険のみの加入となります。)
また、それら通常の労働者と比べて労働日数・労働時間がともに4分の3以上あれば、正規非正規ともに健康保険・厚生年金の被保険者となります。
ただし、通常の労働者と比べて労働日数か労働時間が4分の3未満でも、下記の5要件をすべて満たす場合は、被保険者になります。

①週の所定労働時間が20時間以上あること
②雇用期間が1年以上見込まれること
③賃金の月額が8.8万円以上であること
④学生でないこと
⑤100人を超える規模 被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所に勤めていること。
(国・地方公共団体に属するすべての適用事業所を含む。法人番号が同じなら1つの事業所)

健康保険・厚生年金保険の保険料

標準報酬月額

健康保険・厚生年金保険・介護保険(40歳~64歳)の保険料額は、標準報酬月額を元に決まります。
標準報酬月額は、通勤手当などの手当を含めた1か月の賃金額を元に決まります、
その標準報酬月額によって保険料が決められています。
つまり社会保険の保険料額は賃金額に保険料率を直接かけるのではなく、標準報酬月額によって保険料額を決められているのです。
例えば月の賃金が235,678円だとすると、その標準報酬月額は標準報酬月額に従い240,000となります。
その被保険者が東京都内の40歳未満だとすると、健康保険料額は12,000.円となります。

毎年3月分(4月納付分)から新しい保険料率に変更

保険料率は毎年4月納付分から新しい料率に変わります。
4月納付分すなわち3月支払い賃金から新しい保険料で控除します。
保険料率は各都道府県によって異なります。
各都道府県別の保険料額表はこちら

健康保険・厚生年金保険料 社会保険料額表 東京令和5年度2023年度

全国健康保険協会の健康保険・厚生年金保険料額表(標準報酬月額表)はこちら

 

被保険者資格取得届ー被保険者資格取得時決定ー

被保険者資格要件を満たす労働者が事業所に採用された時に、事業主が届け出をします。

算定基礎届ー定時決定ー

健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料額は、4,5,6月に支払われた報酬(社会保険では賃金のことを報酬と呼びます)の額を毎年7月10日までに日本年金機構に届け出てる算定基礎届を届け出ることで決まり、原則としてその年の9月から翌年8月までその保険料額を納めます。

新しい保険料額はいつから?

毎年9月から新しい保険料額を適用する、と説明されますが、では何月の賃金から新しい保険料を控除すればよいのでしょうか?
事業所はその月の保険料を翌月末日までに国に納付します。(健康保険法第164条
つまり9月の保険料はその翌月の10月末に国に納付することなります。
一方被保険者の社会保険料は前月の賃金から控除します。(健康保険法第167条
つまりたいていは9月の保険料をその翌月の10月の賃金から控除することなります。
ただし賃金締め日と支払日の関係によっては、例3のように9月支払い賃金から控除することもあります。

例1)末締め翌10日払いの場合 →   9月末日に締めて10月10日に支払う賃金から9月分の保険料を控除します。
例2)20日締め翌月10日払いの場合 → 9月20日に締めて10月10日に支払う賃金から9月分の保険料を控除します。
例3)10日締め同月20日払いの場合 → 9月10日に締めて9月20日に支払う賃金から9月分の保険料を控除します。

まとめると、新しい等級・保険料額は9月に締める賃金から控除するということになります。
そして9月に締めた賃金から新しい保険料額が適用され、原則として翌年8月に締める賃金までその保険料額が続きます。

 

月額変更届ー随時改定ー

社会保険料の額は基本的には1年間同じ額ですが、固定的賃金の変動があった場合は、その後3カ月の報酬額の平均額によっては、月額変更届を届け出て保険料額が変更となります。
ただし固定的賃金が変動した場合でも、標準報酬等級が2等級以上変わらなければ随時改定には該当せず、月額変更届を出すこともなく、保険料額は変わりません。
また、例えば残業が多く時間外労働手当などが多いことで賃金額が変動した場合は、それがいくら大きな変動であろうと、随時改定には該当せず、保険料額もそのままとなります。

賞与支払届

賞与=ボーナスを支払った際には事業主は賞与支払届を届け出る必要があります。
賞与に対する社会保険料は通常の賃金と異なり、標準報酬月額に保険料率をかけるのではなく、標準賞与額に保険料率をかけて計算します。
標準賞与額とは、賞与の額の千円未満を切り捨てた数字です。
例えば賞与が235,678円だとすると、その標準賞与額は235,000となります。
その被保険者が東京都内の40歳未満だとすると、健康その賞与に対する健康保険料額は13,677円となります。

被保険者資格喪失届

被保険者が事業所を退職した時に事業主が届け出をします。

 

産休・育休中は社会保険料を免除される

産前休業や産後休業、育児休業中は、産前産後休業取得者申出書育児休業等取得者申出書を日本年金機構に届け出ることで、健康保険料・厚生年金保険料の納付を免除されます。
免除される期間は正確には、休業が終了する日の翌日が属する月の前月までです。
免除されるのは被保険者負担分と事業主負担分の両方ともです。
しかし将来の年金給付は、その期間も保険料を納付していたものとみなした額で給付されます。
ただし、社会保険料免除される産前・産後休業と育児休業は、いずれも法律で定められた休業に限ります。

 ※産前休業とは 出産予定日の6週間前から実際の出産日当日まで
  産後休業とは 出産日翌日から8週間
  育児休業とは 育児・介護休業法で定められる期間
   1歳の誕生日の前日まで(原則)
   1歳以降は保育園の入所を希望しながら認められなかった場合は2歳の誕生日の前日まで
   就業規則で規定すれば2歳以降も育児休業を延長可能

ただし、産休や育休と似ていても、例えば法律上の産休より前からつわりのために長期欠勤してそのまま産休に入った場合、その長期欠勤の期間は保険料は免除されません。
この期間はたとえ賃金が支払われていなくても、被保険者負担分と事業主負担分ともに保険料は発生したままですので、事業主は欠勤している被保険者に被保険者負担分の保険料を請求する必要があります。
保険料が免除されるのは、あくまで法律上の産前産後休業と育児休業の期間のみなのです。

最長で3歳までの育児休業中の社会保険料が免除に

育児休業は最長で3歳になるまで、健康保険料・厚生年金保険料が事業主負担分・被保険者負担分ともに免除されます。
育児休業は原則として1歳の誕生日の前日までですが、保育園に入所できない等の場合は最大2歳まで育児休業を延長することができます。
その間(厳密には2歳の誕生日の前々日まで)は、保育園入所を希望しながら入所できなかった場合は最大で2歳の誕生日の前日まで雇用保険法による育児休業給付金が支給されます。
2歳の誕生日以降は育児休業給付金の支給はありませんが、育児休業そのものはもっと長く設定することも可能で、3歳までの育休延長を制度として規定すれば、3歳になるまでは育児休業中の社会保険料が免除されます。
また保育園入所希望を要件とせずに育休を延長できることを制度として就業規則等に規定すれば、その育休中(最長で3歳まで)は保育園入所を希望しなくても社会保険料が免除されます。
(正確には3歳の誕生日前日までの期間で育児休業を終了した日の翌日が属する月の前月までの健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。)

育児休業給付金と保育園入所意思と社会保険料免除

育児休業給付金と保育園入所意思と社会保険料免除についてまとめると次のようになります。

  社会保険料免除 制度として規定していれば保育園入所意思関係なく3歳まで免除

  育児休業給付金
    1歳まで 保育園入所意思関係なく給付
    2歳まで 保育園入所を希望しても不可能だった場合のみ給付
    2歳以降給付なし

育休から復帰3か月の報酬額をもとに新たな社会保険料額に変更

育児休業から復帰した後に、育児のために労働時間を短縮したため報酬(賃金)額が減った場合は、復帰後3カ月の報酬額を元に健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届を日本年金機構に届け出ることで、新たな保険料額に改訂されます。
これによって育休から職場復帰した4か月後から新しい保険料額が適用されることになります。

 

業務の繁閑差が著しいパート等の社会保険の得喪

パートなど所定労働日数・所定労働時間が少ない雇用契約で社会保険の被保険者になっていない人でも、月によって業務の繁閑の差が著しい場合は、被保険者資格の得喪は以下のようになります。

・実労働日数と実労働時間が通常の労働者の3/4以上になった。
→ 3/4以上になった月の月初から被保険者資格を取得する。

・実労働日数と実労働時間が通常の労働者の3/4未満に減った。
→ 3/4未満に減った月の初めに被保険者資格を喪失する。

つまり社会保険の被保険者になっていない人でも業務の繁閑の差が著しい人は、実労働時間の変化によって社会保険に出たり入ったりすることとなります。
その都度本人に年金事務所や市区町村役所に行って国民年金・国民健康保険の手続きしてもらう必要が出てきます。
また、年間通すと被扶養者の範囲内に収まってしまうのに、ところどころに自ら被保険者になる月があるという事態も起こりえます。

原則で言えば上記のとおりとなりますが、このような手続きは現実的ではありませんし、年金事務所の調査でも実労働時間と実労働日数がたまたま1月だけ要件に該当するからと言って、すぐに被保険者資格取得届を届け出るよう指導することはなかなかないと思われます。

国民健康保険組合と厚生年金

健康保険・厚生年金保険に入るべき事業所が国民健康保険組合に入っている場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の医療保険には入らず、厚生年金保険のみに加入することになります。
つまり医療保険は国保組合の被保険者ままで、年金は厚生年金の被保険者となる、ということになります。
国民健康保険組合とは国民健康保険の一種です。
通常の国民健康保険は市区町村で運営をする地域医療保険ですが、国民健康保険組合は業種ごとにまとまって組合を作ります。
医師会が作る医師国民健康保険組合、美容業界で作る美容師国民健康保険組合などがあります。
国民健康保険組合は国民健康保険なので全国健康保険協会の健康保険(協会けんぽ)とは異なります。
したがって国民健康保険と同じように保険料は報酬額を元にしないし、扶養という概念もありません。

国民健康保険組合に入っている場合の被保険者資格取得届の手続き

国民健康保険組合に入っている事業所で従業員が入社するなどして被保険者資格取得届の手続きをする場合は、まず事業所から国民健康保険組合に国保組合の被保険者資格取得届を郵送などで届け出ます。
この被保険者資格取得届は協会けんぽの除外承認請申請書と厚生年金保険被保険者資格取得届とセットになっていて、国保組合から除外承認印を押された除外承認申請書の控えと厚生年金保険の取得届が事業主宛に返送されてきます。
事業主はその除外承認申請書と厚生年金保険の取得届を日本年金機構に郵送します。
これによって日本年金機構はその事業所が国民健康保険組合に入っていることを確認して、協会けんぽの健康保険を除外し厚生年金のみの被保険者資格を取得させるのです。

2022年10月から社会保険の対象が拡大されました!

パート・アルバイトも51人規模なら社会保険への加入が段階的に義務化へ

パート・アルバイトなど所定労働時間・日数が3/4未満の方も2022年10月からは事業所の規模に応じて社会保険への加入が義務付けられます。

対象労働者 次の4つ全てが当てはまる従業員
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円以上
・2か月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

対象事業所の規模 ※フルタイムの従業員数+週の労働時間がフルタイムの従業員の3/4以上の従業員
・2022年10月~ 101人以上
・2024年10月~  51人以上

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公的年金シミュレーターで年金の見込額を予想!

厚生労働省が年金額簡易試算サービス「公的年金シミュレーター」の試験運用を始めました。
ID・パスワードは不要で、すぐに試算を始めることができるそうです。
「ねんきん定期便」の二次元コードを利用すれば、よりスムーズに入力が可能です。
スライドバーを動かすと年金額の変化が一目で分かり、グラフを表示しながら試算できます。
個人情報は記録、保存されないのでデータ管理も安心・安全です。
従来は年金をいくら受け取れるかを知るのはたいへん手間でしたが、これで簡単に予想できるようになりそうです。

公的年金シミュレーター

公的年金シミュレーターはこちら

また今回の試験運用では改善点などの意見を「「国民の皆様の声」募集 送信フォーム」から応募できるそうです。

公的年金シミュレーターの使い方解説の厚生労働省サイトはこちら
 

2022年4月1日から年金手帳廃止!基礎年金番号通知書に

2022年4月1日から基礎年金番号が確認できる書類として年金手帳から基礎年金番号通知書に切り替えられています。
2022年4月1日以降に新たに年金制度に加入する方には年金手帳は発行されず、代わりにカード状の基礎年金番号通知書が発行されます。
既に年金手帳を持っている方には基礎年金番号通知書は発行されませんので、引き続き年金手帳を使います。
ただし既に年金手帳を持っている方が年金手帳を紛失した場合は、年金手帳ではなく基礎年金番号通知書が交付されることになります。

基礎年金番号通知書

基礎年金番号通知書についての日本年金機構のチラシはこちら

 

LGBTの観点での性別・氏名~雇用保険・健康保険・厚生年金保険の手続き

雇用保険・社会保険の手続きは戸籍の性別・氏名で

LGBT

雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格取得届等の手続きに際しては、現行法では戸籍上の氏名と性別で手続きしなければなりません。
そうしない限りハローワークや日本年金機構は手続きを受け付けてくれないのです。
そして戸籍の性や氏名を変更した場合は、雇用保険と社会保険の性と氏名も戸籍に合わせて変更することになります。
ちなみに在籍中に性別を変更するときは「性別変更申出書」を届け出ます。

健康保険証は要件満たせば通称名も可能

健康保険被保険者証に記載される氏名に関しては、性同一性障害を有することを確認できる医師の診断書等の書類があれば氏名を変更することができます。
入社時にまずは被保険者資格取得届を戸籍上の氏名で日本年金機構に届け出た後で、氏名変更を全国健康保険協会に届け出て手続きすることで、通称名も併用することが可能になります。

申出に必要な書類

①被保険者証への通称名記載に関する申出書
②医師の診断書等の性同一性障害を有することを確認できる書類
③通称名が社会生活上、日常的に用いられていることを確認できる書類
④健康保険被保険者証再交付申請書

氏名変更についての全国健康保険協会のサイトはこちら

 

労務管理上は原則自認する性別・通称名で。例外として法的手続きは戸籍に合わせて

現実的には戸籍の氏名・性と同じでなければ手続きが進まないため、手続きの時は残念ながらやむを得ず戸籍の氏名と性で手続きする必要はあります。
しかしそれはあくまで例外であり、その他の場面では原則として自認する性と氏名を優先すべきです。
本人に対しては、現状はやむなく「例外として」社会保険・雇用保険の手続きの時だけは法律上の氏名・戸籍に合わせるしかないものの、それ以外の場面では「原則として」本人の希望に沿う形を探っていくことを説明して、LGBTの人を決して置き去りにはしない姿勢を示すのが良いでしょう。

 

社労士 連絡先

お気軽にご連絡ください。遠方の事業所様もどうぞ!

メール:info@masaki-sr.jp
電話:03-6382-4334
東京都中野区南台
正木社会保険労務士事務所

 

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