2025(令和7)年の最低賃金~過去最大上げ幅66円増!

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最低賃金とは?

最低賃金最低賃金とは、事業所が労働者に支払わなければならない賃金の最低額です。
時給換算した額が毎年中央最低賃金審議会が目安を示し、地方最低賃金審議会の答申を経て、都道府県労働局長が決定・公示し、毎年10月頃から適用されます。

最低賃金はここ数年大幅な引き上げが続いており、毎年のように過去最大上げ幅の増額となっています。

そして2025(令和7)年10月からは過去最大上げ幅の66円引き上げで、全国加重平均が1,121円となります。

ちなみに最も高い東京都の最低賃金は1,226円です。
 
 

賃金は時給換算で最低賃金を超えなければならない

最低賃金法第3条、第4条で、時給換算した賃金が最低賃金額以上の額でなければならないと定められています。
最低賃金額は各都道府県ごとに決められます。

最低賃金法の条文はこちら

最低賃金には都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と、業種別に定められる「特定最低賃金額」があります。
 
 

地域別最低賃金の改定は毎年10月頃

地域別最低賃金は、毎年夏頃に中央最低賃金審議会(厚生労働大臣の諮問機関)が各地域の最低賃金額の目安を示し、各地方最低賃金審議会がそれを参考にして調査・審議し答申し、各都道府県労働局長が公示します。

答申されたこの改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、およそ10月1日から10月上旬までの間に順次発効されます。
ただし2025年度は翌年3/31や1/1発効となる県もあります。
(例:秋田3/31、熊本1/1、大分1/1、徳島1/1)
 

2025年(令和7年)の地域別最低賃金

2025年10月~2026年9月(地域によっては10月途中)の地域別最低賃金は、前年度より平均66円増額で、下の表のようになります。
 

2025年度(令和7年度)都道府県別 最低賃金一覧
地域 都道府県 金額 発効日
北海道・東北 北海道 1,075 10/4
青森 1,029 11/21
岩手 1,031 12/1
宮城 1,038 10/4
秋田 1,031 3/31(翌年)
山形 1,032 12/23
福島 1,033 1/1(翌年)
関東 茨城 1,074 10/12
栃木 1,068 10/1
群馬 1,063 3/1(翌年)
埼玉 1,141 11/1
千葉 1,140 10/3
東京 1,226 10/3
神奈川 1,225 10/4
中部 新潟 1,050 10/2
富山 1,062 10/12
石川 1,054 10/8
福井 1,053 10/8
山梨 1,052 12/1
長野 1,061 10/3
岐阜 1,065 10/18
静岡 1,097 11/1
愛知 1,140 10/18
近畿 三重 1,087 11/21
滋賀 1,080 10/5
京都 1,122 11/21
大阪 1,177 10/16
兵庫 1,116 10/4
奈良 1,051 11/16
和歌山 1,045 11/1
中国 鳥取 1,030 10/4
島根 1,033 11/17
岡山 1,047 12/1
広島 1,085 11/1
山口 1,043 10/16
四国 徳島 1,046 1/1(翌年)
香川 1,036 10/18
愛媛 1,033 12/1
高知 1,023 12/1
九州・沖縄 福岡 1,057 11/16
佐賀 1,030 11/21
長崎 1,031 12/1
熊本 1,034 1/1(翌年)
大分 1,035 1/1(翌年)
宮崎 1,023 11/16
鹿児島 1,026 11/1
沖縄 1,023 12/1
全国加重平均 1,121

 

最低賃金「10月から」とはいつから?

最低賃金はおおむね毎年10月に改訂されますが、10月の具体的に何日からなのでしょうか?
10月1日からの場合もあれば、10月6日からなどの場合もあります。

 

「10月から新しい最低賃金」とは「10月に働いた分の賃金から」賃金から新しい最低賃金

「10月から新しい最低賃金」が適用される、とは、「10月に働いた賃金から新しい最低賃金」以上の額で支払うということです。
具体的に例を示すと、10月1日から最低賃金が改定となる場合、賃金の締め日と支払日によって、次のようになります。

<月末締めで翌月10日支払いの会社>
10月以降の労働に対する賃金から新しい最低賃金、つまり11月10日支払いの賃金から新しい最低賃金

<20日締めで末日支払いの会社>
9月21日~9月30日の労働分は古い最低賃金、10月1日~10月20日の労働に対する賃金から新しい最低賃金
つまり10月31日支払いの賃金では10月1日を境に新旧の最低賃金を適用

 

最低賃金改定の境目を跨ぐ場合、時間外割増賃金に注意

上記の20日締めのように賃金清算期間が最低賃金改定の境目を跨ぐ場合は、時間外割増賃金の計算に注意が必要です。
9月30日までと10月1日以降とで分けて時間外割増賃金を計算する必要があります。
煩雑になるのを避けるため、少し早めですが9月21日の労働から新たな最低賃金を適用してしまうほうが分かりやすいかもしれません。

 

特定最低賃金~産業別の最低賃金

産業によっては特定最低賃金という産業別の最低賃金を定めている業種もあります。
特定最低賃金は必ず地域別最低賃金より高くなくてはなりません。
また、特定最低賃金が定められていない場合は、その地域の地域別最低賃金が適用されます。
特定最低賃金は例年11~翌年2月頃にかけて順次改訂されます。
(例:岡山の一部は令和7年2月21日発効など)

特定最低賃金の額は厚生労働省公式サイトをご覧ください

 

今後の最低賃金の予想

政府は2030年代半ばまでに全国平均を1,500円とする目標をかかげています。
現在の最低賃金からはまだ遠い数字ではありますが、これは海外の最低賃金と比較すると決して高い額ではありません。
また政府は「儲からない産業から儲かる産業への労働力移動」を進めたいと考えています。
つまり賃金を払えない事業から賃金を支払える多く支払える事業へと労働者が転職することを望んでいると言うことができます。
このようなことから最低賃金は今後も上昇を続けると見込まれています。

 

海外の最低賃金

ちなみに海外の先進国の最低賃金は日本よりずっと高く、2024年11月5日現在の1時間あたりの最低賃金は以下のとおりです。
 

主要国・地域の最低賃金比較(2025年ベース・円換算)
為替は2025年平均レートで換算。すべて時間給ベース。
地域 現地通貨/時給 2025年平均為替 円換算額 備考
スイス・ジュネーブ州 CHF 24.48/h 1CHF=¥175.47 ¥4,296 2025/1/1発効
米国・ワシントン州 USD 16.66/h 1USD=¥148.18 ¥2,469 2025/1/1発効
ドイツ(全国) EUR 12.82/h 1EUR=¥164.88 ¥2,114 2025/1/1発効
フランス(全国) EUR 11.88/h 1EUR=¥164.88 ¥1,959 2025/1/1発効
東京都 ¥1,226/h ¥1,226 2025/10/3発効
日本・全国加重平均 ¥1,121/h ¥1,121 2025年度
韓国(全国) ₩10,030/h 1KRW=¥0.1048 ¥1,051 2025/1/1発効
台湾(全国) NT$190/h 1TWD=¥4.74 ¥901 2025/1/1発効

 
日本の最低賃金は毎年大幅な引き上げが行われていますが、このように海外と比べると日本の最低賃金は決して高いとは言えません。

 

最低賃金大幅引き上げに関連する助成金

最低賃金の大幅な引き上げに合わせて賃金増額に関連する助成金が創設され、今年度も引き続き実施されています。

業務改善助成金

売上等が3%以上減少するなど特定の条件に当てはまる場合は、一定額の賃上げを実施することでPC、スマホ、タブレット、自動車の新規購入も対象となりえる場合があります。
PC、スマホ、タブレット、自動車等は汎用性がある機材のため通常ならば助成金の対象にはなりませんので、賃金引上げのタイミングで利用すればこの業務改善助成金は貴重な機会となります。

業務改善助成金についての厚生労働省のページはこちら

 

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